ギブソンさん(仮名)

練習の帰りに、駅前のローソンに立ち寄ると、
レジのところにあやしげな中年男性が佇んでいる。
会計のために並んでいると、不意に僕のギターのハードケースを指して
「それ、ギブソン?」
と聞かれた。
ギブソンというのはギターのメーカーの名前だが、僕のはちがうので
「ちがいます」
としっかり答える。
ところが、こっちはしっかり否定したのにその男性は
「いや、それギブソンでしょ?」
と食い下がってくる。
「俺もギブソン。秘密だよ」(人差し指を唇に持ってきて秘密の合図)
とまで言われる。これは、いよいよ危ないと思い、
「うん、ギブソン!」
と返答し、足早に去ることにした。
無事に逃げ切るも、不条理な敗走感が沸き上がってくる。
・・・
ギブソンじゃ・・ないやーい!(涙)