博多の砂になりました。

というわけで、7月から福岡県での生活を始めました。
最寄り駅が香椎線というローカル線の沿線で、
都会の喧騒から離れた程よい田舎です。
山が近いから長野暮らししてた頃をちょっと思い出せて嬉しい。


ここ数日の豪雨がすごかったです。今まで経験したことのない雨というのも頷ける。
正確には2年前、東名高速が崩落した日に車で東京に向かってた時を
彷彿とさせるというのが僕にとっては正しいのだけれど。
まだまだ馴染めないままですが、無条件に生活はスタートしてしまったから
ひとつひとつ受け入れてがんばってゆきたいと思っています。


つい一週間前は「世界の砂場から」でライブしたばかりで、
というのが信じられないくらいなのだけれど。
ステージから、まっすぐに僕たちを見てくれる人たちがたくさんいて、
きらきらした目で見つめてくれていて、本当に幸せな時間でした。
極めて不自由な状況だったけれど、無事に迎えられてよかった。
みんなへ、本当にありがとう。


新しいCD「ひとりきりでうたううた」を
手元に届けられた人たちへ。今回どうでしょうか。
前回みたいな製作環境では出来なかったし、ジャケットも一枚ずつ手折り。
文字通りの自主制作CDだけれど、いままでで一番愛着もって
聴いてもらえる音になった気がしていて。今、一番聴いてほしい音。
だから本当に大切に思っています。
みんなにとってもこの気持ちがちょっとでも伝わったら嬉しいです。
そしてこれから聴いてもらえる人たちの手にも、それがきっと広がりますように。


最初、僕の弾き語りの音源を作ろうとしていました。
前作、「旋律」をリリースしてから2年。リリースツアーを終えてそれから、
顕在化した綻びと戦う中、それに対するメンバーそれぞれの捉え方、環境の変化。
正直なところバンドは消滅する寸前だったと思います。


日常の生活の流れの中でめまぐるしく過ごしていると、
自分が砂場というバンドで歌っていることすら曖昧になって。
そんな中で精一杯抗おうとして、ひとつの灯りとして手繰ったのが
「ひとりでうたう」ということ。
それまでバンドで表現することが当たり前と思っていたから
音数、音圧が減ることに抵抗があったのをよく憶えてます。
だけどそれを後押ししてくれた人たちがいて、
次第に受け入れることが出来るようになって、
バンドにはない強さがあることに気づいて、
その魅力を感じることが出来るようになった。
それが原動力になって、止まってたバンド活動を
もう一度何とかしようって思えたから、なんだか不思議ながら、
こうやって「循環」を感じられたのが嬉しかったのも憶えてます。


ということもあって、最初はバンドでの音源は入らない予定でした。
アコースティック音源のレコーディングが進む最中で急遽決まったから、
文字通り滑り込みで。集まったのも8ヶ月ぶりで即録音。
だから、最後にボーナストラックとしてつけようと思ってたのだけど、
録音してみたら、やっぱり最後じゃだめだなって(笑)
それくらい自分にとって存在感のある音源だった。
思うように動けないながらも砂場が砂場としてちゃんと動けた。
何よりもそれが嬉しくてやっぱりそれを活動の原点としたかったから。
曲順も最後の最後に変えました。


ジャケットを作ってくれたのは前回の「旋律」に引き続き
オバタモエさん。こういう右往左往するスケジュールの中
たくさん無理をさせてしまって申し訳なかったのだけど、
本当に素敵なジャケットをつくってくれました。


録音環境については、後半のアコースティック5曲を
里帰りの心太くんが提供してくれました。スタジオじゃなくて、本当に家。
夜な夜な詰め掛けては録音させてもらって無理なスケジュールながら
いつもナチュラルに対応してくれてありがたかったな。


バンド2曲の録音・ミックスは高円寺のソニックバンドスタジオ。
ネットで見つけたスタジオさんだったけれど、すっごく安くやってくれて
簡易レコーディングといいながら、かなり僕らの希望に沿って作ってもらいました。


ゲストミュージシャンは、砂場のはたけやまくんと、里帰りのゆりちゃん、
リトルスクリーミングキャッツのけいこさん。
みんないろいろ忙しい中の合間で手伝ってくれて、
思いのこもった素敵な音を入れてくれました。


アコースティック曲5曲のミックスと、CDのマスタリングは
Hako's Planetという名古屋北区のスタジオさん。
この過程については本当にもう時間がなくて、
けいこさんの紹介で、お任せでやってもらったのだけれど
その中で絶妙に成分調整してもらえました。




今回のCDについては流通を通していないし、
ライブ活動もあまり活発には出来ていない中で、
なかなか広くいろんな人に伝えるのが難しいという現状ではあります。
だけど、それを覆してでも伝わってほしいという想いはあります。
僕たちは出来る限り、「伝えるため」の活動を続けたい。
だから、みんなもよかったらぜひ力を貸してください。
手に取ってくれた人たちからじわりと滲んで広がってゆきますよう。


本当に、ありがとう。