長野県の平日、一日目

学生時代、生活の場所だった長野。


名古屋で仕事を始めてからは
音楽のために帰る場所としてその存在位置を変えて
今でも関わりを続けている。


だけど今回は仕事での訪問。
仕事の休みが土日なので平日に長野にいるってのが、
しかも仕事でってのが、なんだかとっても奇妙な感じで。


初日は、名古屋を午前中に発って大町へ。
特急しなのを乗り継いで、大糸線に乗る。
しなのは平日から、
都会の喧騒から逃れようとばかり、
観光客らしきご老人がたでごった返している。
慣れないパソコンで作ったらしきタイムテーブルは
限られた時間をいかに有意義に過ごすかを切実に訴えていて。
その砂時計を思い描いた。さらり。


対照的に安曇野をゆるっと走る大糸線の列車は、
車内の人たちも、目的が希薄な感じ。


時間を限ると、
詰め込まなくてはいけないもの、
たくさんになって、
呼吸が苦しくなる。


生き急ぐなって、言われてるみたいだった。
とはいえ、僕も限られた時間で動く身体。


たどり着いた信濃大町は、
駅前から閑散としてて、寂れた感があふれている。
シャッター閉まったまんまの商店街。
無造作にアーケードに流れるエフエム放送。
行き交う車も疎らなメインストリートを、目的地へ向かって歩く。


僕がなんの仕事で来てるかはおいといて(あやしいもんじゃありません)
帰りになにか食べてくなら?と聞いてみると
先ほどあるいてきた商店街の中に佇む
「わちがい」というお店を薦められる。
来るときは気に留めなかったけれど
帰りみちに通ってみるとなるほど、
確かにちょっと入ってみたくなる。
古い家屋を改装した喫茶店兼食事処で、
名物がおざんざというものらしく
旅先の醍醐味で頼んでみる。
貸切の一室のようなお座敷席に通されてビップ待遇。
一見普通のうどんのようなものがでてくるが
納豆の粘りをつなぎに使ってるとのこと。
不思議な味わいで、ゆっくりと食べた。
炭火で暖をとる。息を吹きかけると赤銅色の火が顔を出して
ぱちんとはぜた。


一日目は、場所が場所だけにもう観光と変わんない。


五時半の高速バスにのって長野まで。山道を通ってほろ酔い。
夜はしょうごくんと一緒に昭和風居酒屋で飲みふけり、
歩いて家まで帰る。
嘘みたいに人気の無くなる長野駅南側。
天候に関わらず傘を差して佇むおじいさんがいつまでも気にかかる。
毎日いるらしくて。いないと気になる存在みたいです。


たどり着いた宿にて、双葉双一やらニックドレイクやら
枯れた音楽を聴き耽り、似非レコーディングを未遂にし、
ettに癒されて就寝。
悪夢をみるというベッドで、悪夢を見た記憶を携えて起床。


あさですよ。


二日目は続きの日記にする。