閃き

ちょっと気に入ったフレーズとかリフとか、メロディーが浮かぶと
その瞬間、跳び起きるみたいに鼓動が早くなる。
新発見をする科学者の気持ちと似ていると思う。
様々な薬品を混ぜて、特殊な反応を探る。
6本の弦で、いくつもの音符を組み合わせて、響く音を探る。
「!」な発見に心躍らせる、そんな瞬間は、
多少秘密めいた心地でもあり、僕は逸る気持ちを抑えて
浮かんだイメージを熱を保ったままに形にしようとする。


もっとも僕の場合、大抵は展開が思いつかずに宙を彷徨って、いつのまにか
忘れてしまったり、お蔵入りしてしまったりということが大半なのだけれど、
忘れてしまうのはもったいないと思ったので、最近ICレコーダなるものを入手した。
元はお年寄りの物忘れ防止のために制作された(はず)のこの媒体であるが
最近は販売サイドも多彩な使用法で売り込みにかかっていて、
実際テレコとかより便利なので重宝しているのだけれど。


とりあえず、こういう閃きがあるとしばらく浮かれることができるのです。
俺天才!!とか。前にも書いたなこんなこと。
で、一刻経つと、展開が浮かばないのでリバウンドで沈む。
基本が割と沈み気味なので、あまり沈むことには驚いたりしないのだけど、
こういうことがたまにあると、浮かれてる自分には後々驚く。
曲のかけらが出来ると、もうそれはステージで発表することを考えてて。
台風の目のなかに居るみたいに、一瞬に晴れ渡るこの非日常な感じ。
いつまでも続かないことは判っていても、この一瞬がいつまでも続けばいいのにと願う。
こういう刹那的な気持ちは強くなる一方。