生ゆきおろし -写真日記1日目-

年末は実家に帰ろうと思いたったところ、
ちょうど両親が温泉旅行で不在にするとのことで、急遽、山形県まで連行されることに。
行き先は、白布温泉の東屋。
「秘湯を守る会」所属の宿とのことで、
自称日帰り秘湯温泉マニアとしては垂涎の内容であった。
新潟市内の積雪は大したことはなかったが、北上するにつれて徐々に深度を増す雪。
色鮮やかなはずの景色も、雪はあっというまに包み込んで灰色の世界に変えてしまう。
北路4時間あまり。到着したのは日没後。
車を降りると、氷点下の外気に、除雪用に流れる温泉の湯がふれて湯気が沸き立ち、
宿までの道筋を幻想的に映していた。

建物自体は数年前の火災により新築した施設とのことで非常に現代的なつくり。
吹き抜けのロビーと木の質感、暖色の照明から、
秘湯には不似合いなほど、洗練された印象を受ける。
火災前の施設は茅葺き屋根だったとのことで、この転身ぶりには驚くしかない。
ともあれ、何はなくとも秘湯。
内湯は家族風呂も含めて3種あって、利用したのは通常の内湯と露天風呂のみだが、
ほとんどが源泉かけ流しとのことで、惜しげもなく豊富なお湯が流れている。
内湯の引き戸をカラカラと開けると、
ヒヤリとした外気(?)に湯気が立ち込めて照明がぼんやりと灯る。
湯船は、三条の打たせ湯からつくられていて、絶え間なく水面を打つ音が響いている。
古きも偲んでということなのか、浴槽に使われている木は、
火災で消失前のものを使っているそうだ。
そして、外の露天風呂は、タイミングも良くて圧巻だった。
四方を降り積もった雪が囲い、上空は満天の星空。
空いていて他の客も居なかったため、独占状態。
雪に腕を突っ込んで苦行を強いてみたり、やりたい放題だった。
食事も米沢牛が現れたり、神の恵みに感謝する。
今回2泊の滞在であったが、大雪だったため
両親にのんびり過ごすことに決定されてへこむ。
さすがにじっとしていられず、無駄に入浴を繰り返したり、
だれも歩いていない大雪の温泉街(街というよりは商店が2つくらいしかなかったが)
を歩いてみたりして、気を紛らわした。
酒店にてこの店限定の日本酒などが販売されていて
お店の人にプレミアですよとか言われ、買おうかどうしようか迷ったが
考えてみたら自分はそんなに日本酒を飲めないことに気づいて考え直す。
そんなこんなで、今年の温泉旅も今回で最後になりそうだ。
なんだかんだで、今年も温泉にたくさん行った気がする。
どうして、こんなに温泉に惹かれてしまうのかということを考えると、不思議でならない。

宿の部屋の窓から。日本むかしばなしのようだ。

ここから年賀状をだしました。本当に届くのか。

念願の生ゆきおろし。やっぱりゆきおろしは生にかぎる。